吸い込まれそうな大きな満月を背景に浮かび上がる尖塔の上のエンジェル。 その時、広場に居合わせた人が二人いたのですが、その一人がチャーリーでした。名刺をくれて、「素晴らしい光景を見た。展覧会があるならぜひ呼んでほしい」と声をかけられました。その後、「ミラノ、月の下の風景」という写真展を開いたのですが、オープン初日の前に駆けつけてくれたのが彼だったのです。「君はエンジェルを撮っているけど、僕にも色々な仕事をしてくれるエンジェルが日本にいるんだよ」なんて軽口を叩いていたのを覚えています。
GQやニューヨークポスト、朝日新聞などにも写真を寄稿し、雑誌LEONではイタリア人スナップを撮影している写真家仁木岳彦氏が来日。
<プロフィール>
フランチェスコ仁木岳彦
1971年、北海道生まれ。上智大学新聞学科卒業。1994年にニューヨークに渡る。
ニューヨーク州立ファッション工科大学などで写真を学び、フォトグラファーとしてのキャリアをスタート。
ヨーロッパ旅行中に、強烈な郷愁を感じたイタリアに居住する事を決意し、2000年にミラノに活動の拠点を移す。2004年にはサンティアゴ・デ・コンポステーラを巡礼。
2007年にはカトリックの洗礼を受ける。「エル」「GQ」「マリクレール」「エスクワイア」「ニューヨークポスト」「朝日新聞」などに写真を寄稿。専門は、ポートレート、 ファッション、旅、ドキュメンタリーなど。
「天使の写真」のカメラマンが語るチャーリーとの出会い
表紙の写真を見るだけで、何やら神秘的な気持ちにさせられる「天使の写真」を撮ったのがミラノ在住の写真家・仁木岳彦さん。
チャーリーの友人でもある彼が写真集「天使の写真」を引っさげて、サロンでフォトセッションを行います。仁木さんに写真集を出された経緯などについて伺ってみました。
僕が天使の写真を撮るきっかけになったのは、2011年の東日本大震災直後です。震災の1週間後くらいに、ミラノ大聖堂(ドゥオモ)で日本人のためのミサがありました。「平安」という日本語の看板が掲げられた教会の中でお焼香をさせてくれたんです。西洋にもお香はありますが、こういう形で参列者がやることはなく、ミラノに住む日本人のために仏式のお焼香を特別にやってくれました。その時に煙が聖堂内に立ち込めたのですが、参列者たちの間で「煙の中に天使を見た」という噂が流れたのです。僕はそれを聞いて、大震災の被害者を追悼する「天使の出陣式」だったと勝手に解釈をしました。そこから天使の写真を撮るという僕なりの「巡礼」をするようになったんです。
チャーリーに出会ったのも、その巡礼の最中でした。写真集には収録しなかったのですが、ミラノ大聖堂の尖塔上に聖母マリア様の像を写した一枚があります。ある晩、街を歩いていたら、道端に落ちていた三脚を拾ったんです。ドゥオモを見上げると、まさにマリア様の後ろに月が出ていた。三脚をセットしてあわててシャッターを切りました。たった3分余りの出来事でしたが、その間に雲が割れて、フルムーンの中にマリア様が浮かび上がりました。
その光景を見て、僕は周りの尖塔に掲げられた聖人たちとマリア様が「重大な相談」をしているように見えたんです。
もちろん何を喋っていたかなんてわかりませんが、それを知りたいと強く思った。
それに一歩でも近づくために「エンジェル」の写真を撮っているようなものです。
もう一つ印象に残っているエピソードがあります。写真集の表紙にもなっている、スーパームーンの時に撮れたものです。これもミラノのドゥオモ広場でした。月の写真を撮りたいと、三脚と望遠レンズをつけて街を歩きながらアングルを探していたら、ある建物の上に天使がいたんです。この写真を見た方は、「三脚を構えて待っていたのだろう」とおっしゃるんですが、月は望遠レンズで撮ると、猛烈な勢いで動いているんです。皆さんが思っている以上に早くね。
だから、天使が撮らせてくれたという思いもあります。エンジェルをテーマにして撮影巡礼を始めていた後なので、喜び勇んで撮りました。それまでにも、途中でくじけそうになることもありました。でも、こういう場面に出くわすと、「その仕事を完成させろ」と、どこかから言われているような気になるんです。まさに天職というか、「お前が撮れ!」と命じられているような気になる。
さらに偶然があって、この写真集の発行日は11月14日で、68年ぶりのスーパームーンなんですよ。単なる偶然なのでしょうけれど、その日に発行ということについても勝手に喜んでいます。「偶然ではない何か」に支配されている気持ちになれますから。
『ミラノ在住のフォトグラファー 仁木岳彦氏によるフォトシューティングイベント』
今回は仁木氏の写真集【Portraits of ANGELS】(税込3000円) をお買い上げのお客さまへ、その場でフォトシューティングを行います。
日時:11月19日(土)11:00~19:00(12:00~14:00除く)
※お一人様15分
定員:24名さま
場所:メンズ館8階=イセタンメンズ レジデンス/チャーリー・ヴァイス
お申し込み方法:店頭またはお電話にて承ります。
03-3225- 2853(直通) / 担当: 近藤・與安(よやす)
*定員になり次第お申し込み受付を締め切らせていただきますので、予めご了承ください。
*イベントは予告無く変更になることもございますので、予めご了承ください。詳しくは係員までお問い合わせください。
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