作り手の思いや世界観を現代に遺していきたい。

作り手の思いや世界観を現代に遺していきたい。

studio”仕組(しくみ)”代表として国内外に現代刀の販売や、職人・アーティストの支援につながる新製品開発、工房ツアーなどを企画運営している河内晋平さんのインタビューの後編をお送りします。「これまでの日本文化が生み出してきた工芸品やアートを残すことにつながる活動を人類全体でしたい。しかし、すぐには商品を売らないんです。」と語る河内さんの真意とは。

海外からのお客様に日本刀を買いたいと言われても、すぐに売らないんですよ。

海外からのお客様に日本刀を買いたいと言われても、すぐに売らないんですよ。

現代刀の海外への販売ですが、日本国内よりも高い値段で販売しています。でも、お客様から買いたいと言われても、僕らはハイどうぞ、といった具合にはすぐに売らないんですよ。
日本刀に興味があるのであれば、では工房へ案内しましょう。仏閣に興味があるのであれば、
寺院にお連れしましょう。といった具合で、実際に作り手である職人さんに会ってもらって、彼らの世界観に触れてもらって、その上で欲しい、買いたいとなったら、初めて購入する権利をお渡しするんです。

モノが遺って受け継がれていく過程を伝えたい

モノが遺って受け継がれていく過程を伝えたい

想像してみて欲しいんです。お客様がもし、ただ買える金額で欲しいからという理由だけで、お金だけ出して手に入れた現代刀を、国に戻って自分の家に持ち帰った時に、その刀にどんな想いやストーリーがこめられているのかを、お客様は自分の家族や友人に語ることはしないでしょう。体験と知識がないですからね。
ところが、工房に来訪してもらって、実際に職人さんと話して、文化レベルで理解出来た上で、どうしても手に入れたいという想いで買っていただけたなら、きっと家族や友人にしっかり伝えると思うんです。家族や友人も、そんな熱心に語るお父さんの姿を見たら、大人になった時、その刀をお父さんから受け継いだ時に、ぞんざいに刀を扱ったりはしないと思うんですよね。そうやって、モノって遺っていく、受け継がれていくと思うんです。
モノを大事にする姿勢って生活にもすごく現れると思うんです。
例えば、普段から本当にモノを大切にしている人で携帯の画面が割れている人って少ないと思うんですね(笑)僕らは価値を感じる、想いのこめられた器も多く取り扱っているんですけど、モノを大切にするという教育を、食育ならぬモノ育(モノイク)って呼んでいるんですよ。これは陶芸の友人から教わった考え方でもあります。

素晴らしい作品が生まれる瞬間とは?

素晴らしい作品が生まれる瞬間とは?

僕自身も職人として、漆を塗る仕事をしてきたので、いいものはいいとわかります。
多くの職人さんのいる現場に身を置いていると、いつも以上に、とんでもなく魂がこもっているな、ということを実感する、感じる瞬間があるんです。
言語化するのが難しいですね(笑)いま、すごいことが起きているなという感覚なんです。スポーツでいうところの、’ゾーン’に入っているというか。それは叡智や人智を超えてしまっているという領域で、自分ではたどり着けないだろうな、というようなものを感じることがあるんです。100mを5秒で走りきるみたいな感じです。よくこんな形を作れたな、と思います。例えば「器のここのくぼみ、すごい!」となってしまうような、同じものは二度と作れないではないかと思うんです。そんな領域までいってみたいなあと思ってしまいますね。

普段使いにもおすすめしたい、職人さんの想いが込められた器「トキノハ」

普段使いにもおすすめしたい、職人さんの想いが込められた器「トキノハ」

僕らが取り扱わせていただいているトキノハさんの器は、そんな想いを込めて作られた器だと思います。どこをどう見てもらっても、恥ずかしくないというか。魅せられるというか。
このクオリティーの器をこの価格でっていうところも素晴らしいなと思いますし、飾るのではなくて、ぜひ普段使いして欲しいですね。
器って、器そのものが主役になってしまうのではなくて、盛り付けられて初めて完成すると思うんです。トキノハさんの器はそういう器ですね。味わい深い色も、この絶妙な厚さや薄さも大好きですね。ぜひ、手にとって、沢山触れて欲しいなと思います。
思えばチャーリーとの出会いのきっかけは、トキノハさんのこの器でしたね。
チャーリーが、あるご友人の邸宅でおもてなしを受けていて、その時出されたお料理が盛り付けられたお皿に注目したようで、そのご友人の説明で僕から買ったということを聞きつけて、会いに来てくださったんでしたね。

作り手も、売り手も、買い手も幸せな世の中にしていきたい

作り手も、売り手も、買い手も幸せな世の中にしていきたい

想いがこめられたモノを取り扱わせていただいて感じることですが、もし仮に、今ここにある現代アート作品がすごい高値で買いたいと言われて売れたとしても、正当な値段では間違いなくないわけなので、その価値付けが正当ではないのであれば僕は全然嬉しくないですね。きっとそのお金もすぐになくなっちゃうと思います。罪悪感も感じてしまいますしね。でも、本当に1億円の価値がこれにはあるぞと思える作品であれば、1億円で売ります。正当な対価を感じる値段で、価値を感じるモノが売れていく。それが一番幸せですね。

遺っていって欲しいモノ、継承されていって欲しい作品を人類全体で守っていける世界になっていくような仕事をする。この使命感を持って、仕事に没頭していきたいですね。
<前編を読む>


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トキノハ/calm シリーズ:24cmプレート

税込価格 ¥5,400

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河内晋平

PROFILE

河内晋平(かわちしんぺい)1981年7月9日生まれ。奈良・吉野にて刀鍛冶の家庭に生まれ育つ。2011年まで東京国立博物館アソシエイトフェローとして勤務。3.11での東北での仕事を機に、職人、アーティストの応援支援を目的として、彼らの美術作品管理と展覧会の企画、国内海外への販路開拓までをワンストップで行うことができる株式会社studio仕組(しくみ)を創業。
現在、日本刀の国内海外販売をメインに、伝統工芸シェアや職人ツアー、職人とのコラボレーション製品開発やコンサルティング、アトリエや美術品の管理運営を行っている。

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